金箔
神社の豆知識

[ 氏神と氏子・崇敬者 ]

古代の社会では様々の氏族、先祖を同じくする共同体の人々がそれぞれ自分たちの尊崇する神をお招きして祀り、氏族の長が中心となって祭りを行ったので、 その風習が残り、氏子とか氏神という言葉が一般的に使われるようになったのです。今ではその土地を見守られる神さま、つまり産土神を「氏神さま(鎮守さま)」、 その氏神の神恩を戴いて生活している地域住民すべてを「氏子」というようになりました。又、本来の地域の神社を支える氏子以外で、その神社の信仰者を 「崇敬者」といいます。
*神社には、氏子をもたない神社もありますが、氏神神社にはそれぞれ受持ち区域(氏子区域)があります。氏神さまがわからない場合は、各都道府県の神社庁又は、 お近くの神主さんにお訪ね下さい。

[ 神職の呼称について ]

責任役員(代表役員=宮司を含む)とは、宗教法人法に基づく法律上の機関で、役員会 を構成して、神社の法人事務中重要な事項(宗教上の機能に関する 事項を除く)を決定します。これに対して総代とは、法律制定以前の古い時代から存在する宗教上の機関で、氏子・ 崇敬者の代表として祭祀をはじめ 神宮大麻頒布等、様々な面で神社のために奔走する 神社の世話人ともいうべきものです。
責任役員、総代の任務、選考等については、宗教法人法に基づく神社本庁庁規を受け て定められた神社規則に規定されています。

[ 責任役員と総代 ]

神職とは神々と人々の仲執り持ちの役をなし、人々に代わって神々への奉仕を行う者 のことです。他に「神主」「神官」などの言い方がありますが、 「神主」「神官」はか なり古い時代の言い方で、現在神社本庁の規程では「神職」を公式な言い方としていま す。
神職の職階としては、神社本庁の規程では、神社の管理運営の責任者で宗教法人であ る神社の代表役員を兼ねる神職を・宮司(ぐうじ)、 順に・権宮司(ごんぐうじ)・禰 宜(ねぎ)・権禰宜(ごんねぎ)・出仕(しゅっし)等の役職があります。

[ 初穂料・玉串料 ]

参拝者が、神さまへのお気持ちとして納められる「初穂料」は、今ではお金を包む事が 一般的になりましたが、農業が盛んであった昔は、稔りの 秋には感謝の気持ちを込めて、 その年の最初に実った稲穂を神さまにお供えしていました。「初穂」という言葉はここに始まっているのです。
「玉串」とは、榊の枝に紙垂(白い紙)を結び付けたものの事で、語源については、 「手向串(たむけぐし)」「玉を貫く串」「霊串(たまぐし)」等の 諸説がありますが、ご祈 祷の際には御神前に玉串を奉ります。ご祈祷料等を予め熨斗袋等に包みご用意される場合は、表書きには、「初穂料」 又は「玉串料」と書かれるのがよいでしょう。

[ 御神体 ]

御神体とは、そこに神さまの御霊が鎮まられると信じられる大切なもの。神社では御霊代とも称し、神霊の依代となるもので、一般には御鏡とか石とか、 御神像、中には木片などが御神体になっているところもありますが、それが大切に櫃(ひつ)などに 納められ、本殿の御扉の中(内陣)に奥深く奉安されています。 神さまそのものは物体ではなく、御神体は、神さまがお宿りになるもの、お鎮まりになる御座です。 そこは常 に清浄な空間を護持しなければなりません。
御神体は、宮司であっても、拝する事は出来ません。
仏寺では御開帳と称して一般の人が御本尊の仏像を拝観することが出来ますが、神社の御神体(御霊代)はこれと異なり、一般の人が拝見することは出来ません。 神さま は奥ゆかしく、ありがたいと考えるのが神道です。

[ 御祭神 ]

神社にお祀りする神を御祭神と言います。祀られる神は、八百万の神と言われるように実に多くの神さまが祀られています。 神々のお名前は、その大半は「古事記」「日本書紀」「風土記」等に出てきますが、一般には そうした神々を天神地祇(或いは、天津神・国津神)というような呼び 方をして分類します。
この他に、人々に尊崇されて神として祀られた人神さまも沢山あります。御祭神を分類すると、・神話に出て くる万物創造に関する神、・靈能上の神、・祖先又は 人を 祀った神、・職業に関し祀られた神、・天象に関する神、・地象に関する神、・動植物に関する神、 ・食物に関する神等に分けられるという説があります。

[ 神社に一番多く祀られてる神様 ]

[1]お稲荷さん(宇迦之御魂神(記)(うかのみたまのかみ)等)32,000社。
[2]八幡さま(譽田別尊(紀)等)約25,000社。
[3]神明さま(天照大御神等)18,000社
[4]天神さま<天満宮>(菅原道真公)15,100社
[5]宗像三女神を祀る宗像神社・厳島神社(多紀理比売命・市寸島比売命・田寸津比売命)8,500社
[6]諏訪神社(建御名方神(記)・八坂刀売神 等)5,000社
[7]日吉神社・日枝神社<山王さん>(大山咋神 等)4,000社
[8]熊野神社(家津御子大神・熊野速玉大神・熊野夫須美大神 等)3,000社
[9]白山神社(白山ひめ大神等)2,800社
[10]八坂神社(素盞嗚尊(紀)等)2,700社
[11]住吉神社(底筒男命・中筒男命・表筒男命 等)2,100社
[12]熱田神宮はじめ須佐之男命(記)や倭建命を祀る神社2,000社
[13]出雲大社系(大国主神 等)1,300社
[13]春日神社(建甕槌命・経津主命・天児屋根命 等)1,300社
[14]松尾神社(大山咋神・市杵島姫命 等)1,200社
[15]鹿島神社(建甕槌命)1,000社余り
[16]秋葉神社(火之迦具土大神)800社
[17]金刀比羅宮(大物主神)700社
[18]香取神社(伊波比主神<経津主大神>)500社
[19]貴船神社(高おかみの神・罔象女神・国常立神・玉依姫 等)300社
[20]多賀神社(伊邪那岐命・伊邪那美命(記))250社
[21]塩釜神社(塩土老翁神・建甕槌命・経津主命 等)200社
【昭和四十年頃のデータによる】
*神々のお名前(漢字名)は、「日本書紀」と「古事記」では異なるものが多く(読みは殆ど同じですが)、別名を持つ神さまもいらっしゃいます。文中、(紀)は日本書紀、(記) は古事記で使われている神名です。
<参考文献>(一部引用) 「お宮に行こうー神社の基礎知識ー」(神社新報社)・「神道辞典」(堀書店) 他

[ 八幡宮・八幡社 ]

譽田別尊(第十五代 應神天皇(おうじんてんのう))を祀る神社の称号。
一般には比売神(多紀理比売命(たぎりひめのみこと)・市寸島比売命(いちき しまひめのみこと)・田寸津比売命(たぎつひめのみこと)) 息長足姫命(神功皇后) を併せ祀る。全国の八幡宮は「宇佐神宮」(大分県)をもって本宗とし、清和天皇 貞観元年(859)に大安寺僧行教の 奏請によって山城国男山に勧請したのが「石清 水八幡宮」(京都府)であり、清和天皇から清和源氏が出、その子孫に源頼義、頼 光、義家などの武将を輩出した。
八幡太郎の名で親しまれた義家が、石清水の社頭で元服したと伝えるように、代々八幡神を篤く敬い、石清水八幡宮は次第に源氏の氏神と仰がれ、武士階級に波及していった。
康平六年(1063)奥州に下った源頼義が奥州平定の帰途、秘かに石清水八幡宮を相模国由比郷に勧請したと伝えら れるのが鎌倉の鶴岡八幡宮(神奈川県)であり、その後源頼朝が、 その祖頼義が創建 した由比ケ浜の宮を現在の境内地に移し、以来八幡神は武家社会七百年の歴史の中で、「武の神」として急速に広まり、 八幡大菩薩の旗が、戦場にまで駆け巡るようになった。
*息長足姫命(紀)(おきながたらしひめのみこと)<息長帯比売命> (記)
仲哀天皇の皇后で、神功皇后(じんぐうこうごう)と謚(おくりな)された。譽田別尊(應神天皇)の生母である。 仲哀天皇が崩ぜられて後、三韓征伐を行い筑紫に凱旋せられ、 この地で譽田別尊を生み給うた。都に帰られるや、天皇幼児であったので、皇太后として摂政せられ、以後六十九年。百才をもって崩ぜられた。奈良、平安朝以来、 八幡大神をも って應神天皇と崇める信仰が成立し、同時にこれに仲哀天皇・神功皇后を配して祀るに至り、神功皇后は聖母大菩薩(しょうもだいぼさつ)とも呼ばれた。

[ 神 紋 ]

神社には、特殊の神社を除き、大概きまった「神紋」がある。神紋は、その神社を象徴する 「神のみしるし」であり、一般には本殿の御扉とか、幌・慢・幕・旗・提燈等に使用する。
東峯八幡大神の神紋は、「左三つ巴紋」で、「巴紋」は、石清水八幡宮をはじめ、武神を祭っ た神社の多くに使われており、仏寺の卍字に対し神社の代表紋となっている。
向かって左方に巻くのが「左巴」、右巻きが「右巴」で、概ね「三つ巴」である。
又、各神社の由緒、祭神の事歴に基づくものが多く、日光東照宮の「葵紋」、春日大社等の「藤紋」、官公の愛好に因る天満宮の「梅鉢」などは、その著しいものである。

[ 獅子・狛犬 ]

狛犬(こまいぬ)は「高麗犬」「駒犬」「胡摩犬」とも書く。二物に分けるが、二物を通じて単に獅子とも又狛犬ともいふ。元来埃及・波斯・印度等で行はれたものが支那、朝鮮を経て 我が国に伝来したものである。我が国では平安朝以来、 禁中御帳台の左右帷の鎮子として用いられたものが、後に儀飾用に変化した。
其の意義については、獅子は雄であり、陽を意味し天を表はす。狛犬は雌であり、 陰を意味し、地を表はすなどの諸説があるが、つまり、「正を守り、 邪を防ぎ、神社守護の 標示である」ことに一致する。神社では本殿の内外、又は拝殿前に据え、又は社頭の装飾にもする。向って右方に獅子(口を開いて 「あ」の発音)、向って左方に狛犬(口を つぐんで「ん」の発音)を向合ひに (或いは 各外方向にも)据える。「あ」「ん」の発音をしているのは、神様や人間の言葉 をよく理解できる事を表すと言われている。

[ 伊勢神宮(お伊勢さま)]

伊勢の神宮は、正式には、単に「神宮」と申し上げます。古くから「お伊勢さま」 と親しまれ、皇大神宮 [内宮](こうたいじんぐう)[ないくう]と 豊受大神宮 [外宮](とようけだいじんぐう)[げくう]を中心とする日本で最も貴いお宮で、両正宮のほかに、十四所の別宮(べっくう)、百九社の摂社(せっしゃ)、 末社(まっしゃ)、 所管社(しょかんしゃ)から成り立っています。
天照大御神をお祀り申し上げる「内宮」は、皇室の御祖先神として尊ばれ、又、国民の総氏神として仰がれています。
豊受大御神をお祀り申し上げる「外宮」は、衣食住、ひいては産業の守り神として崇められています。

[ 式年遷宮 ]

神宮は、三重県伊勢市に鎮座し、元来、宮中に手厚く奉斎されてきましたが、 二千年の昔、第十一代垂仁天皇の御代に伊勢に御鎮座になりました。
以来、皇室 を中心として、広く国民の信仰をも集めて、今日に至っています。
神宮では、今から千三百年前の持統天皇の四年(西暦690)より、二十年毎に社殿や御装束・御神宝の一切を新しく造り替えてきました。これを式年遷宮といいます。 平成二十五年十月には、第六十二回目の式年遷宮が、古式のままに行われました。このお祭りは、 大御神様の広大無辺な神恩が益々豊かになることを祈り、その神恩を 戴いて国の若返りと永 遠の発展を願う大切なお祭りです。神宮に関する諸々の事務等は、「神宮司庁」(神宮の社務所)が司っています。
「神宮司庁」
〒516-0023 伊勢市宇治館町1番地
(TEL) 0596-24-1111 / (FAX) 0596-27-0520
(財団法人)伊勢神宮崇敬会
〒516-0025 伊勢市宇治中之切町152
(TEL) 0596-24-7162 / (FAX) 0596-22-1517

[ 神宮大麻 ](伊勢神宮の御神札)

「お伊勢さん」「お正月さん」として親しまれている天照大御神のお神札です。
大麻とは、もともとお祓いに使われた麻などの用具のことでしたが、後にお祓いを受けて授けられるお神札のこともこう呼ぶようになりました。
ご家庭の神棚には、日本の国民の総氏神である伊勢神宮のお神札「神宮大麻」と、お住まいになっている地域の守り神である「氏神神社(氏神さま)のお神札」をお祀りされるの が良いでしょう。 神棚がない家庭ではとりあえずタンスや書棚の上に白い紙を敷 くなどしてお祀りして戴くのも良いでしょう。
お神札を毎年新しくお受けするのは、新しい年を迎え、すべてがあらたまるとき、 初日の出を拝むように毎年新たなる御神徳とみずみずしい生命の力を 戴くという 祈りがこめられているのです。
神宮大麻は、伊勢の神宮において丁重なお祭りを重ねて奉製され、毎年年末、 氏神さまを通じて各家庭に頒布(お配り)されています。
*一年間お守り戴いた古いお神札は、年末、感謝をこめて氏神さまに納めます。 神社では浄火により焼納します。

[ 神棚のまつり方・神棚拝詞 ]

≪神棚のまつり方≫
✽神奈川県神社庁(おまつりとお供えの方法参照)✽
一般的には、居間等の南または東向きの明るく清浄な高い所に棚を作り、お祀りします。
棚の中央にお社を据へ、左右に榊を立て神饌をお供へします。
≪お神札の順位≫
お神札を横に並べてお祀りするときは、中央に神宮大麻、向って右に氏神さまのお神札、 左に崇敬される神社の順に並べます。 一つに重ねてお祀りするときは一番表に神宮大麻、次に氏神さま、崇敬神社の順にするのがよいでしょう。
≪お供へ (神饌)≫
神棚には毎日朝、お供へ物をします。お供へ物(神饌)は、米・塩・水で、 米はご飯か洗米のお初を毎朝お供へします。
また御神酒や、珍しい物、四季の初物を得た時には、そのつどお供へしましょう。
≪お参りの仕方≫
お参りの作法は、神社にお参りする時と同じで、二拝二拍手一拝です。
朝夕にお参りしますが、神棚拝詞を奏上されるのもよいでしょう。
≪一夜飾り(新しいお神札を祀るに際し嫌われる日)≫
年末29日は「苦日飾り」と言って嫌われ、31日は「一夜飾り」と言い、大晦日になって飾ったのでは、歳神さま(新しい歳神さまは元旦未明に降りられます)をお迎えする大切な おこもりの時間が持てなくなるところから嫌われています。

[ 神社本庁と神社庁 ]

神社本庁は、伊勢の神宮を本宗と仰ぎ、全国約八万の神社を包括する宗教団体です。(本宗とは、伊勢の神宮が他の神社に比べて格別の御存在であることを示す尊称です。) その目的は、包括下の神社の管理と指導を中心に、伝統を重んじ祭祀の振興や道義の高揚をはかり、祖国日本の繁栄を祈念して、世界の平安に寄与することにあります。
神社神道には、他宗教にある戒律にあたるものはありませんが、敬神尊皇の実践綱領としては、「敬神生活の綱領」があります。
神社庁は、神社本庁の地方機関として、各都道府県にそれぞれ置かれています。神社庁はいずれも 庁舎をもち、管内神社に関する事務をとる他、地域活動の振興をはかる仕事をしています。 神社庁は神社活動PRの窓口です。
<神社本庁>
〒151-0053 渋谷区代々木1-1-2
(TEL) 03-3379-8011 / (FAX) 03-3379-8299
<神奈川県神社庁>
〒235-0019 横浜市磯子区磯子台20-1
(TEL) 045-761-6387 / (FAX) 045-761-0100
<神奈川県の神社>
https://www.kanagawa-jinja.or.jp

[ 崇敬生活の綱領 ]

神道は天地悠久の大道であって、崇高なる精神を培ひ、太平を開くの基である。
神慮を畏み祖訓をつぎ、いよいよ道の精華を発揮し、人類の福祉を増進するは、使命を達成する所以である。ここにこの綱領をかかげて向かふところを明らかにし、 実践につ とめて以て大道を宣揚することを期する。
一、神の恵みと祖先の恩とに感謝し、明き清きまことを以て祭祀にいそしむこと
一、世のため人のために奉仕し、神のみこともちとして世をつくり固め成すこと
一、大御心をいただきてむつび和らぎ、国の隆昌と世界の共存共栄とを祈ること